む」に傍線]の複合即ち今日でも稍その語源の意を認められる接尾語の外にも単綴のものでは、く、つ、ぬ、ふ、む、ゆがある。ゆ[#「ゆ」に傍線]とむ[#「む」に傍線]とは語源のおもかげをおぼろげにみることが出来るが、く[#「く」に傍線]、つ[#「つ」に傍線]、ぬ[#「ぬ」に傍線]、ふ[#「ふ」に傍線]については今日のところでは音義をとくほかはない。はたして複合のために用ゐる動詞があり[#「あり」に傍線]・う[#「う」に傍線]、す[#「す」に傍線]、む[#「む」に傍線]ばかりであるとはどうもいへない様に思ふ。況やずつとはじめにならべておいた諸種の接尾語もゝとはそれ/″\やはり独立の用言であつたと考へられるにおいてをやといはねばならぬ。
つまるところ用言の語根は古くはい[#「い」に傍線]母音でをはるものではなうて、う[#「う」に傍線]母音でをはる語であつたのが、終止段が此に似てをるから、そこで語根となることがあるので、そのう[#「う」に傍線]母音でをはつてゐる語根といふのはまへにいうた通り動詞でもないまた名詞でもないが、また動詞にも名詞にも融通して用ゐられる語で、形式の上からいへばまづ体言とでもな
前へ
次へ
全63ページ中48ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング