よき」に傍線]とかあしき[#「あしき」に傍線]とかで体言になつて居るけれども、よき[#「よき」に傍線]とかあしき[#「あしき」に傍線]とかゞ他の接尾語をよんで更にまた用言をつくることはおぼつかない様におもふ。但し金沢先生は、よかり、あしかり、よけれ、あしけれをよきあり、あしきあり、よきあれ、あしきあれと様にいうてゐられる。これはアストン氏の語根についての考を採用せられたのではあらうけれども、卑見はやゝこれと趣を異にしてゐる。語根はアストン氏の如くゆき[#「ゆき」に傍線]とかうけ[#「うけ」に傍線]とかいき[#「いき」に傍線]とかみ[#「み」に傍線]とかいふい[#「い」に傍線]の母音に近いものを以て終つてをるとする考は、つまり名詞語根説には一致はしてゐるけれども、それは後世の考をば前にさかのぼらしたので、恐らくはさうではなくて、今日の存在してをる文献に徴して考へてみると未熟ながら下の様な結論に帰着するとおもふ。
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(ちよつと断つておくが、おほきし[#「おほきし」に傍線]といふ語はおほき[#「おほき」に傍線]といふ連体名詞法に形容詞接尾語がついたのだともおもはれるけれ
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