、それにし[#「し」に傍線]をばそへたのである。この様に終止と連体とがきはやかにわかれてをる諸種の活用には、連体から他の接尾語をよんで用言となるものが見いだされない。四段活用その他終止と連体とに区別のない活用について、連体名詞を求めようとするのは出来ない相談である。全体連体段は所謂分詞法があるのだが、分詞といふものは体言につかずはなれずといふ状態にあるので、正しくはこの分詞法には弖爾波はつくけれども、用言接尾語はつかないのである。この段に合名詞法(熟語法)をおくけれども、それは今日ではむしろ連用法が合名詞法としては完全にはたらきをしてゐる。一体合名詞といふのはある用言と体言とがつゞくのではなうて、ある体言と体言とが接するものである。たるき、しらぬひ、くるまき(車木の説あり)などは今日の頭から考へてみると、さしみ[#「さしみ」に傍線]とか、うきふね[#「うきふね」に傍線]とか、よりうど[#「よりうど」に傍線]ゝかいふ様にたりき[#「たりき」に傍線]、しらず火[#「しらず火」に傍線]、くりまき[#「くりまき」に傍線]とする所である。
しかし形容詞となると少しく面目がかはつて来る。よき[#「
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