し[#「つき/\・し」に傍線]、つ・ぐ[#「つ・ぐ」に傍線]などみな密接近似などいふ意がある。
因にいふ、後撰集に、関こゆる道とはなしにちか[#「ちか」に傍点]乍ら年にさはりて春をまつかな といふ語法は注意にあたひすると思ふ。
[#ここで字下げ終わり]
べらなり[#「べらなり」に傍線]のべら[#「べら」に傍線]をばめら[#「めら」に傍線]の将然法の音転としたならば、これをも体言といふ説の一つの材料に供することができる。なり[#「なり」に傍線]は動詞の終止と連体とにつく外は多くは体言につくのであるといふことに注意せねばならん。形容詞の将然段は普通の文法家は連用言のうちにこめてしまふけれども、よけ[#「よけ」に傍線]とかあしけ[#「あしけ」に傍線]とかなけ[#「なけ」に傍線]とかいふ語が已然にも将然にも用ゐられてゐる。しかし、これはあり[#「あり」に傍線]といふ語の融合してをるといふ説があるから、この場合には姑くこれを措いておく。
以上論じたところで、用言なるものは将然言が名詞法を有してゐるといふことがわかつたとおもふ。尚いろ/\の用言をもつて来てその語根について考察したならば一層明かに
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