ひ」に傍線]との区別は、どこにあるかと言ふ事になつて来るのだが、其説明は、簡単には出来ない。とにかく、少くとも、たましひ[#「たましひ」に傍線]と言ふものは、目に見える光りをもつたもの、尾を曳いたものではない。抽象的なもので、体に、這入つたり出たりするものがたま[#「たま」に傍線]だつたのであるが、いつか其が、此を具体的に示した、即、たま[#「たま」に傍線]のしんぼる[#「しんぼる」に傍線]だつたところの礦石や動物の骨などだけが、たま[#「たま」に傍線]と呼ばれ、抽象的なものゝ方は、たましひ[#「たましひ」に傍線]と言ふ言葉で、現される様になつた。大変な変化が起つた訣である。
此、たま[#「たま」に傍線]とたましひ[#「たましひ」に傍線]との区別に就いては、いづれ機会を見て、もう一度話をして見たいと思ふ。



底本:「折口信夫全集 3」中央公論社
   1995(平成7)年4月10日初版発行
初出:「民俗学 第一巻第三号」
   1929(昭和4)年9月
※「郷土研究会講演筆記」の記載が底本題名下にあり。
※底本の題名の下に書かれている「郷土研究会講演筆記、昭和四年九月「民俗学」第一
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