の神[#「よりあけ森の神」に傍線]・まうさてさくゝもい[#「まうさてさくゝもい」に傍線]御威部《オンイベ》に、乃木大将夫婦の写真を合祀したのが一例である。
国頭《クニガミ》の大宜味《オホギミ》村の青年団の発会式に、雀の迷ひ込んだのを、此会の隆んになる瑞祥だ、と喜び合うたのは、近年の事である。此は、内地風の考へ方に化せられたので、老人仲間では、今でも、鳥の室に入ることを忌んでゐる。其穢れに会ふと、一家|浜下《ハマウ》りをして、禊いだものである。併しながら、宗教の上の事大の心持は、此島人が昔から持つてゐた、統一の原理でもあつた。甚しい小異を含みながら、大同の実を挙げて、琉球神道が、北は奄美《アマミ》の道の島々から、南は宮古、八重山の先島々《サキジマ/\》まで行き亘つてゐる。
二 遥拝所――おとほし[#「おとほし」に傍線]
琉球の神道の根本の観念は、遥拝と言ふところにある。至上人の居る楽土を遥拝する思想が、人に移り香炉に移つて、今も行はれて居る。
御嶽拝所《オタケヲガン》は其出発点に於て、やはり遥拝の思想から出てゐる事が考へられる。海岸或は、島の村々では、其村から離れた海上の小
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