ものといふべきだ。近世の門松は根方に盛り砂をする。盛り砂・立て砂は、祭礼にも葬式にも、貴人の御成りに盛り立てる。実は標山《シメヤマ》の信仰の忘れられた世に残つた記念《カタミ》である。
かう書いて来ると、神祇・釈教・恋・無常、凡そ一年中の行事は、あらかた一元に帰する様である。鬼の休みの盆から説きおこした話は、鬼の笑ふ来年の正月の事まで蔓がのびた。



底本:「折口信夫全集 2」中央公論社
   1995(平成7)年3月10日初版発行
初出:「大阪朝日新聞 附録」
   1915(大正4)年8月29日
※底本の題名の下に書かれて居る「大正四年八月二十九日「大阪朝日新聞」附録」はファイル末の「初出」欄に移しました。
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2006年12月31日作成
青空文庫作成ファイル:
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