門松のはなし
折口信夫

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)訣《わけ》を

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「いち」に傍線]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いろ/\
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正月に門松を立てる訣《わけ》を記憶してゐる人が、今日でもまだあるでせうか。此意義は、恐らく文献からは発見出来ますまい。文化を誇つたものほど早くに忘れてしまうた様です。僅に、圏外にとり残された極少数の人達の間に、かすかながら伝承されてゐる事があるので、それから探りを入れて、まう一度これを原の姿に還し、訣ればその意義を考へて見たいと思ふのです。
今日では、門松の形が全国的に略きまつてしまひましたが、以前は、いろ/\違つた形のものがあつたのです。今日の様な形に固定したのは、江戸時代に、諸国の大名が江戸に集つた為に、自然と或一つの形に近づいて行つたのだと思ひます。或は、今日の形は、当時最勢力のあつたものの模倣であつたかも知れません。
絵で見ますと、江戸時代のものにも、葉のついたまゝの竹が、松よりも高く立てられてゐるのもあ
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