の系統の語《ことば》の、半分意義あり、半分はないと言つた用法を、類型的にくり返してゐるのは、何故であらう。此は全く、たまふり[#「たまふり」に傍線]の信仰から出来た多くの詞章が、其ふる[#「ふる」に傍線]と言ふ語の俤を、どこかに留めて居るのである。たまふる[#「たまふる」に傍線]を略してふる[#「ふる」に傍線]と言ふ。此ふる[#「ふる」に傍線]と言ふ語は、外来の威霊を、身に、密着せしめると言ふ用語例である。内在魂の游離を防ぎ鎮めると言ふたましづめ[#「たましづめ」に傍線]の信仰以前からあつたのだ。
此まな[#「まな」に傍線]――外来魂――信仰は、国々の君の後なる族長・神主なる国造等の上にもあつた。其国を圧服する威力は、霊の「来りふる」より起るとした。其為の歌舞が、国の霊《タマ》ふり歌及び舞である。此がくにぶり[#「くにぶり」に傍線]と言ふ語の原義である。同時に、ふり[#「ふり」に傍線]は、舞姿或は歌曲を単独にいふ古語でなかつた事が知れよう。霊ふり[#「ふり」に傍線]には、歌謡・舞踏を相伴ふものとして、二つの行為を一つにこめ、ふり[#「ふり」に傍線]の略語が用ゐられる様になつたのは、古代
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