くに」に傍線]の古語と言うてよい様である。さうして、此しま/″\・くに/″\の中には、大和朝廷を脅かすものも多かつた。大和の国中でも、葛城の国などは、手ごはく感じられた印象を、記紀に止めてゐる。
飛鳥の村辺に、都の固定し出した頃には、国家の意識が、稍《やや》統一しかけて来たものと思はれる。此処まで来れば、どうしても大化の改新は現れなければならぬ訣であつた。あの改新の本意は、村本位の生活を国本位の生活に引き直す事であつた。段々勢力は失うて来てはゐたものゝ、尚盛り返さうけはひの見えた村を根拠とした豪族を、一挙に永劫に頭の擡げられぬ地位に置かうとする事であつた。此久しい前から、村の主長の意味の名なる国造・県主は、既に多くの貴いかばね[#「かばね」に傍線]に呼び換へられて居た。けれども尚、昔のまゝの称へが捨てられないで、国造・県主の称へを持ち続けてゐた家もある。尚遅れては、意義が変つた為、其かばね[#「かばね」に傍線]である事を忘れて、国造の上に、更にかばね[#「かばね」に傍線]を与へられたのさへ多い。
公認せられた国の外は、おほよそ郡と称せられて、国の数は著しくへつた。国々は凡てふれ[#「ふ
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