ぢつとして居る間もないのに、而も貧乏すると言ふ意味の考へ落ちだらう。
○祭りの日 徳島市中では、本祭りをほんま[#「ほんま」に傍線]、其前日がよみや[#「よみや」に傍線]、祭りの翌日がしよおじり[#「しよおじり」に傍線]である。しよおじり[#「しよおじり」に傍線]の日は、午後からお宮が賑ふ。尚、三月節供翌日を、やはり、しかのあくにち[#「しかのあくにち」に傍線]といふ。
○れ※[#小書き平仮名ん、87−16]ぞ[#「れ※[#小書き平仮名ん、87−16]ぞ」に傍線]・れ※[#小書き平仮名ん、87−16]ど[#「れ※[#小書き平仮名ん、87−16]ど」に傍線] 此語は、大和国中に限る様である上に、殊に北南葛城郡が中心になつてゐる処を見ると、其処に、起原があると仮定しても、よい様だ。此で思ひ当るのは、当麻寺の練供養《ネリクヤウ》である。此は、頗名高い法会で、大和歳事記を拵へれば、春の部の王様とも言ふべき行事ゆゑ、此地方の人には、祭りとも、休日とも言ふ風の聯想が起つたのであらう。恐らく練道《レンダウ》供養のれんどお[#「れんどお」に傍線]が、れんど[#「れんど」に傍線]>れんぞ[#「れんぞ」に傍線]となつたものであらう。練道と言ふ語は、行道など言ふ語があるから、言はないとは思はれぬ。



底本:「折口信夫全集 3」中央公論社
   1995(平成7)年4月10日初版発行
底本の親本:「『古代研究』第一部 民俗学篇第二」大岡山書店
   1930(昭和5)年6月20日
初出:「土俗と伝説 第一巻第一―三号」
   1918(大正7)年8〜9月
※底本の題名の下に書かれている「大正七年八―十月「土俗と伝説」第一巻第一―三号」はファイル末の「初出」欄に移しました
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2007年4月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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