反省の文学源氏物語
折口信夫

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)寵愛《ちょうあい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)数|个《か》所

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)光る[#「光る」に傍点]

 [#(…)]:訓点送り仮名
 (例)藤壺[#(ノ)]女御

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
(例)名のみこと/″\しう
−−

源氏物語は、一口に言えば、光源氏を主人公として書かれた物語である。此光る[#「光る」に傍点]と言うのは、我々の普通に考える様な名とは、少し違った意味を持っている。女の方に例を取って見ると、源氏の生母桐壺更衣の没後、父桐壺の帝の寵愛《ちょうあい》せられた藤壺[#(ノ)]女御を、「かゞやく日の宮」と書いている。人間の容貌をほめる為に、ひかる・かがやくなど言う言葉を使ったので、良い意味のあだ名の様な名づけ方なのである。光君は桐壺帝の二番目の御子《みこ》で、帝が次の天子の位に即《つ》けたい、と考えられた程可愛くお思いになっていた
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