a)」は縦中横]と変じて語尾に接する如き、或は副詞法より語尾に続いたものと思はれるわかゆ[#「わかゆ」に傍線](<わく)の様なのがあつて、一は全部属性の活動を現はし、一は其の部分的なものである。
前者の例は、かづらく・まくらく・かげるの類、後者の例は、かたぐ・あぎとふ・はらむの類。
後の者は概念の中で最も普通な差別観念が全内包を占て外延を収縮させ、属性的活動を特殊なものにせばめてゐる。
   ※[#丸A小文字、1−12−33]抽象語と語尾との粘着
形式上、体言として取扱はれるもので、まだ完全な概念を形づくるに至らないもの、よし又、概念を有してゐても、其の形式が一つの独立詞として扱はれにくい語をくるめて云ふので、之又、厳格な意味に於ける抽象語では無い。
[#ここから2字下げ]
ふるぶ  むつむ  おもる  かする
[#ここで字下げ終わり]
語根と語尾との分岐点並に其の独立資格を認めることが出来るが、今日単独に直ちに体言として扱ふことは困難である。けれども、活動力の無い点から見て、当然抽象的の体言とすべきである。これには後に云ふ品詞の語根と語尾との複合が大部分を占てをる。
   ※[#丸B
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