、亦解任後の采女を中心とした団体で、同時に宮廷から伝へた呪詞・叙事詩によつて、其呪力を以て地方の邑落を化導して行つたものだ。譬へば、雄略紀の三重[#(ノ)]采女・万葉集の安積山[#(ノ)]采女の物語の如きは、怒り易き威力あるまれびと[#「まれびと」に傍線]を慰撫する意味の言語伝承を持つてゐたと思はれる。
五 侏儒の芸能
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おほみやのちひさことねり。玉ならば、昼は手にすゑ、夜は纏《マ》きねむ(神楽歌譜)
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舎人に対して、やはり早くから侏儒が召されてゐる。必しも世界宮廷共通の弄臣としての意味許りでなく、尚幾分の特殊性が見られる様だ。其が後に先進国の宮廷の風に合理化したに過ぎないのだらう。所謂小舎人、或は小舎人童と称せられる者の古い形がそれだ。普通侏儒をひきひと[#「ひきひと」に傍線]或はひきうど[#「ひきうど」に傍線]と云ふ様だが、此は宮廷に仕へた場合の称号なのだ。小舎人に当るものが、高低二種類に岐れて、其貴族の子弟の殊に、臨時に召されることを童殿上と云つた。小さ子の侏儒であることを早く忘れて、伝承の形の変化したのが、小子部[#(
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