「ものゝべ」に傍線]なのである。
ものゝべ[#「ものゝべ」に傍線]のもの[#「もの」に傍線]が、霊魂であることには疑問はない。更にわれ/\が云はうとする物語――叙事詩――なる語が、やはり霊魂の感染であるらしい。祝詞や宣命に現れる物知《モノシリ》なる語も、精霊の意志を判断する人と云ふ事である。其もの[#「もの」に傍線]の利用のうち、強い霊魂を所持する部族が其威力を持つて、来り襲ふ他の種族の守護霊を駆逐する職が、ものゝべ[#「ものゝべ」に傍線]と言ふ事になるのだ。さうしたものゝ信仰が最大切に考へられて、専、其に関した聖職を物部が奉仕する、と考へられる様になつたと見ねばならぬ。
ものゝべ[#「ものゝべ」に傍線]の文学に関与してゐる側から云ふと、物部氏の複姓なる石《イソ》[#(ノ)]上《カミ》に附属した呪術は、古代に於ける各種の鎮魂法のうち、最重く見られる筈の長い伝統と、名高い本縁とを持つてゐたのだ。さうして、其鎮魂に伴ふ歌が、叙事詩に対する呪詞と同じ意味の新しい形であつた。世に伝るところの鎮魂歌は、大体に於いて、石[#(ノ)]上系統のものと見てよからうが、尚若干の疑問がある。古い鎮魂歌の替へ
前へ 次へ
全69ページ中35ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング