の結果の覆奏《カヘリマヲシ》をなされる。其目的が次第に固定して来て、田のなり物の為にせられると云つた形になる。此覆奏が、即、まつる[#「まつる」に傍線]と云ふ語の最古の意義である。みこと[#「みこと」に傍線]に叶つた結果を御示しする事だ。唯、此まつり[#「まつり」に傍線]は、天神と関係を持つてゐる行事で、極めて古い伝来を尊重した結果、其行動と伝承の言語とを別に考へる様になつた。普通献上物をするからの祭りとは別な内容を持つと考へ、区別する為に政《マツリゴト》と称してゐる。覆奏詞《マツリゴト》をまをす儀だから、まつりごと[#「まつりごと」に傍線]と言ひ慣したわけだ。すべて、古い信仰上の語で言へば、食国政《ヲスクニノマツリゴト》の一つに帰する。だから、われ/\の国では、まつり[#「まつり」に傍線]・まつりごと[#「まつりごと」に傍線]と云ふ語は、根本に於いて経済的な意識を離れてはない。
日の御子が代り替りに此土に下られるのも、実は、食国政を行はれる為に過ぎないのであつた。尚《なほ》、日の御子の御職分としては、色々の聖なる行事のあつたことは考へられるが、其すべてをこめて、食国政と云ふ立場から解
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