ばならなくなつてゐる。併し其には都合よく、此本に択ばれた作者の時代が一飛びに跨げてよい様になつてゐる。
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末遠き若葉の芝生 うちなびき、雲雀鳴く野の 春の夕ぐれ(定家)
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などに、如何によい暗示を含んでゐたかを見ればよい。定家の子の為家は、庸物を以て目せられてゐるが、私は彼の歌にある風格の変化を見てゐる。此が其伝統を襲《つ》いだ二条流、其から更に連歌の平凡趣味と混淆して悪化して行つた後世の堂上風を導いたのである。彼の死後分裂した二条・冷泉・京極の三流の中、前二者の流派から出たすべての勅撰集及び、多くの家集は、今日までの私の鑑賞法からは、寧、劫火の降つて整理してくれることを望んでゐる。其程、個性と輪廓とのぼやけた物が多いのである。
土岐さんの此本の第一稿は、さうした連衆の作物の検査にまで手が及んでゐた筈である。そして其結果、此本の編者なるわが友をして「あゝ、呪はれた千数百年の短歌史よ」と叫ばせ、かあど[#「かあど」に傍線]箱を投げ出さしめた。其程、今後も出るはずの幾人の忠実な研究家・鑑賞者の差別・批判の能力を衰弱せしめるに十分な類型の堆積があ
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