姫・次姫の事から考へて見ねばならぬ。天子様が食事をせられる時に、此最姫・次姫は「とがありともなほびたまへ……」といふ呪言を唱へる。此は、よし、手落ちがあつたとしても、天子様の召し上り物には間違ひのない様に、といふ意味のとなへ[#「となへ」に傍線]言である。普通には、座をかへてものする時に、なほる[#「なほる」に傍線]と言うて居る。此は或は、二度食事をする事から出た解釈かも知れぬ。大嘗祭の行事に見ても、一度食事をせられてから、座を易へて、もう一度、自由な態度でお召し上りなされる。此が直らひの式である。つまり、ゆつたりと寛いだ式である。そして、其席上へ出る神も亦、直日の神と言はれて居る。平安朝に入つてからは、直日の神といふのは、宴会の神、又は遊芸の神となつて居るのも、此考へから出たのである。
大嘗祭の直会の時には、大和舞ひが行はれ、田舞ひが行はれ、舞姫の舞ひも行はれる。そして、すべての人は、今までの厳重な物忌みから、開放される。直会《ナホラヒ》は、一口に言へば、精進落ちともいへる。だが、精進とは、仏教の考へから、魚を食はぬ事を斥していふが、本来は、禁欲生活・物忌み生活を言うた語である。

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