定される。法・憲・制等の文字に相当する意義を持つて居る。祝詞は正式には、天[#(ツ)]祝詞[#(ノ)]太祝詞といふのである。のりと[#「のりと」に傍線]は、のり[#「のり」に傍線]を発する場所の事で、神座の事である。而して、此神座で発する言葉が、祝詞である。「天つ祝詞の太祝詞ごと」とは、神秘な壮大崇高な場所で下された御言葉、といふ事である。此尊い神座の事を高御座といふ。
高御座とは、天上の日神の居られる場所と、同一な高い場所といふ意味である。だから、祝詞を唱へる所は、どこでも高御座となる。そんなら、御即位式の時に昇られる高御座は、何を意味するかといへば、前述の様に、天が下の神秘な場所、天上と同一な価値を持つて居る所、といふ意味である。天子様の領土の事を天が下、天子様の御家の事を天のみかど[#「天のみかど」に傍線]などいふのは、天上の日の神の居られる処と、同一な価値を持つて居る処、といふ意味である。みかど[#「みかど」に傍線]といふ語が後には、天子様の版図の事にもなるのは、此意味であり、後には、天子様の事をも申し上げる様になつて来て居る。
高御座で下される詞は、天上のそれと全く同一となる
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