、瓜生野家の縁の日あたりで、若かつた信吉法師の口から聞かされた一途な語を、目のあたりに復、聞かされてゐるやうに感じた。彼の頭には、卅年前と目の今の事とが、一つに渦を捲いた。さうして時々、冷やかな反省が、ひやり/\と脊筋に水を注いだ。彼は強ひて、心を鎮めた。さうして、顔もえあげないでゐる身毒の、著しくねび整うた脊から腰へかけての骨ぐみに目を落してゐた。分別男や身毒の予期した語は、その脣からは洩れないで、劬る様な語が、身毒のさゝくれ立つた心持ちを和げた。
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おまへも、やつぱり、父の子ぢやつたなう。信吉房の血が、まだ一代きりの捨身では、をさまらなかつたものと見える。
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かういふ語が、分別男や身毒には、無意味ながら悲しい語らしく響いて語り終へられた。深いと息が、師匠の腹の底から出た。
分別男は、疳癖づよい師匠にも似あはぬことゝ思うて、拍子抜けのした顔でゐた。師匠ももうとる年で、よつぽど箝が弛んだやうだと笑ひ話のやうにして制※[#「咤−宀」、第3水準1−14−85]迦を慰めた。
あけの日は、東が白みかけると、あちらでもこちらでも蝉が鳴き立てた。昨日の
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