当な霊魂を附与したのが発育して来て、国土として生き、草木として生き、山川として成長して来た。人間・動物・地理・地物皆、生命を完了してゐるのだといふことをば、まう一度、新しい立場から信じ直さなければならないと思ひます。つまりわれ/\の知識の復活が、まづ必要なのです。
神道教は要するに、この高皇産霊神・神皇産霊神を中心とした宗教神の筋目の上に、更に考へを進めて行かなければなりません。その用意もすでに、大体出来てをります。それが久しい神道学の準備せられた効果なのです。たゞわれ/\にまだ欠けてゐるのは、それを宗教化するところの情熱です。われ/\の前に漠々たるものは、さういふ宗教家が、われ/\の前に現れて来ることを待つてゐるばかりの、現実です。
われ/\が本当に此世の中の秩序を回復し、世の中をよい世の中にし、礼譲のある美しい世の中にするのには、まう一遍埋没した神々に、復活を乞はなければなりません。まう一遍神を信ずる心を、とり返さねばなりません。さうしない限り、この日本の秩序ある美しい社会生活といふものは、実現せられないだらうと思ひます。
其日まで、われ/\はかうして、神道の神学を組織するに努めて
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