く似たものである。
荒神祓へがすむと、くづれ[#「くづれ」に傍線]を語る事がある。此が「島の人生」をどれだけ潤し、世間の広さ、年月の久しさを考へさせたか訣らない。
盲僧が百合若伝説を語ると、変が起る、と伝へてゐる。畢竟、重要視しての事かと思はれるが、陰陽師・巫女《イチ》側のもの故、忌んでの事なのかも知れない。くづれ[#「くづれ」に傍線]は、正式な平家物語物でもない様で、盛衰記と称へて、長門合戦を語つてゐる。其外は、大抵説経である。
初午の日には、招かれて「稲荷|念《ネン》じ」をする。其時は、琵琶で吼※[#「口+穢のつくり」、第3水準1−15−21]《コンクワイ》を弾く。此は葛の葉説教の中の文句であるが、説経を読む感じで唱へる様である。が、此は説経から出て、名高い芝居唄になつて、地唄の本にも出て、今に上方端唄として謡はれる。此説経の文句が芝居唄に採られたのは、元禄期であつた。盲僧が琵琶を三味線と持ち替へて、小唄・端唄を謡ふ座頭となつたのは、よく訣る様に思ふ。経を弾くに止らないで、本地物語を語ることが、直に、説経を唱へることになる。くづれ[#「くづれ」に傍線]の説経の中の小唄から出た部分や
前へ
次へ
全46ページ中43ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング