り[#「わり」に傍線]以外に地を持つ事は許されてゐた事などから見ても、大体血統的に町人・百姓の資格が極つて居て、土地の所有権は先天的のものと考へられて居たのだ。だから、町人と村方百姓の漁業を営む者との間の区別の立ちにくい事情の者でも、村に生れた資格として、わり[#「わり」に傍線]を受け得たのである。
島の町人の職業は、前に挙げた位の単純なものであつた。工業の方面の諸職は、志原の百姓に多かつたことを見ても、町人の範囲は極めて狭く、土地の所属決定した後代に移住した者又は、本来土地に関係のない生業を持つた者、海岸の除地に仮住してゐる者として、政治的交渉を持つことの殆なかつた者――元は、毫もなかつた――此等の群居民が、村をなし、土地の政治の支配を受ける様になつても、田はわられなかつた。此は、蜑の団体から発達したことを見せてゐるのだ。町人の普通の者で、身分の低いものを見れば、蜑との繋りが見えよう。村方の並みの百姓と同格で、町役を勤めることの出来ぬ階級をかこにん[#「かこにん」に傍線](水子人)と言ひ、又浦人とも言ふ。平戸侯の参覲には、水子《カコ》として、船役を命ぜられた。町人の代表階級なる、浦人
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