、子の名は必《かならず》、母名づけぬ。此子の御名をば、何とか称へむ。」かれ、答へ白《もう》さく、……。又|詔命《ミコトモタ》しむるは、「いかにして、日足《ヒタ》しまつらむ。」答へ白さく、「御母《ミオモ》を取り、大|湯坐《ユヱ》・若|湯坐《ユヱ》定め(御母を取り……湯坐に定めてと訓《よ》む方が正しいであろう。また、取御母を養護御母《トリミオモ》のように訓んで、……に――としての義――大湯坐……を定めてとも訓める)て、ひたし奉らば宜《ヨ》けむ。」かれ、其后の白しに随以《シタガヒモチ》て日足し奉るなり[#「日足し奉るなり」に白丸傍点]。又、其后に問ひて曰はく、「汝所堅之美豆能小佩《ナガカタメコシミヅノヲヒモ》(こおび[#「こおび」に傍線]か)は、誰かも解かむ。」答へ申さく、「旦波比古多々須美智能宇斯王《タニハノヒコタヽスミチノウシノミコ》の女《むすめ》、名は兄比売《えひめ》・弟《おと》比売、此|二女王《フタミコ》ぞ、浄き公民《オホミタカラ》(?)なる。かれ、使はさば宜《よ》けむ。……」
又、其后の白《もう》しのまゝに、みちのうしの王[#「みちのうしの王」に傍線]の女等、比婆須《ひばす》比売命
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