唱導文芸序説
折口信夫

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)非事吏《ヒジリ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)穴師|兵主《ヒヤウズ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)くらいまっくす[#「くらいまっくす」に傍線]

 [#(…)]:訓点送り仮名
 (例)茅上[#(ノ)]郎女

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ひらり/\
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唱導といふのは、元、寺家の用語である。私の此方面に関心を持ち出したのも、実はさうした側の、殊に近代に倚つての、布教者の漂遊を主題としてゐた。だが、最近さうした方法が、寺家及びその末流――主として、此等の人々の自由運動に属する者が多いが――の採用することになるよりも前の形の方が、もつと大切な事の様に考へられて来た。即日本における、特殊な文学運動でもあり、又其よりも更に、大きな宗教運動の形を作る基礎になり、又地方経済生活の大きな因由を開いたものなることを、思はずに居られなくなつたからである。
唱導文学と言ふよりも、寧唱導芸能といふ方が、更に適切らしい気
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