唱導文学
――序説として――
折口信夫

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)常世《トコヨ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)此|土《くに》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「くさかんむり/坐」、第4水準2−86−26]

 [#…]:返り点
 (例)安曇[#(ノ)]磯良

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)わざ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

唱導文学といふ語は、単なる「唱導」の「文学」と言ふ事でなく、多少熟語としての偏傾を持つて居るのである。事実において、唱導文学は、説経文学を意味しなければならぬのであるが、わが国民族文学の上には、特に説経と称するものがあり、又其が唱導文学の最大なる部分にもなつてゐる。だが、その語自身、あまり特殊な宗教――仏教――的主題を含んでゐる為、其便利な用語例を避けて、わざ/\、選んだ字面であつたのである。其れが今日では、既に多少普遍化して来て、
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