末」しやくつてあげろ。ゆすつてあげろ。
(谷からいかば、岡からいかむ。岡から行かば、谷から行かむ)
本」お前が谷から行くとすりや、おれは高みから行かう。末」お前が高みから行くとすりや、おれは谷から行かう。
(これからいかば、かれからいかむ。かれからいかば、これからいかむ)
本」お前が此処をば通るなら、おれは向うを通る。末」お前が向うを通るなら、おれは此処を通る。
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かうした口訳を作ることは、くどい事だし、尚、当然誤訳もあるだらうし、私自身に別説もある。これは頓作《トンサク》問答だから、早歌と言つたのだが、歌と言ふほどの物でもなからう。その中「近衛御門云々」は即座の応酬だらうし、「女子《ヲミナゴ》の才《ザエ》云々」は諺だつたらう。
神楽の歌詞から、神楽の原義は固より、その過程を引き出さうとする事の無謀であることは、勿論の事である。其だけ替へ歌が、沢山這入つて来てゐる訣だ。だが、早歌を見ると、如何にも山及び遠旅の印象が、明らかに出てゐる。其上に、「近衛御門に巾子落いつ」などになると、踏歌に出る仮装者の高巾子《カウコンジ》や、其に関聯して中門口の行事などが思ひ浮べられ
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