近づいて来る。と言ふより、謎は此から出たと言ふのが、正しいであらう。懸け合ひすることを、祭祀の儀礼の重要な部分とするのが、古代の習慣であつた。神及び精霊の間に、互に相手方の唱和を阻止する様な技巧が積まれて来てゐた。即応する事が出来ねば負けとなる訣である。元来は真の頓才《ヰツト》による問答であつたらうが、次第に固定して双方ともにきまつたものをくり返す様になつた事である。唯、僅かづゝの当意即妙式な変化と、順序の飛躍とがあつたに過ぎないであらう。
歌物語においては、如何にも真実らしく感じる所から、自然悲劇的な内容を持つものが多くなつて行くが、諺物語においては、次第に周知の伝承を避け、而も意表に出るを努める所から、嘘話としての効果をねらふ様になり、喜劇的な不安な結末を作る方に傾くのである。
早歌《ハヤウタ》
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(いづれぞや。とうどまり。彼崎越えて)
本」何処だい。行き止りは。末」そんなこつちや駄目だ。あの崎越えてまだ/\。
(み山の小黒葛。くれ/\。小黒葛)
本」山のつゞらで言へば、末」もつと繰れ/\。山の小つゞら。
(鷺の頸とろむと。いとはた長ううて)
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