グロ》の空の夕焼けも 見つ
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世間にもおなじ考への人があるのだらう。二等車の隅で静かに目をあいて、ぢつとして居て、人が這入つて来ると、何となく神経のさゝくれを見せるやうな人が、乗つて居るものである。
汽車にも時季《シユン》と言ふものがあつて、静かな気持ちで半日も乗り続けたことが忘れられないで、廻り道でもあり、目的地をふり替へなければならなかつたりするのだけれど、わざ/\其線を選んで乗つたりすることがある。さうした場合に限つて、えて、そんな安らかな期待が、蹂躙せられる。議員選挙の助勢に出掛けて行く一群が、もう降りるか/\と思つてゐると、私たちの乗ると、同じ位の距離をしやべり続けて来ることがある。あゝ言ふ人たちの人もなげな物言ひは、時にはほゝゑましい思ひを動すことがないでもない。
底本:「日本の名随筆67 宿」作品社
1988(昭和63)年5月25日第1刷発行
1999(平成11)年9月30日第9刷発行
底本の親本:「折口信夫全集 第二八巻」中央公論社
1968(昭和43)年2月発行
入力:門田裕志
校正:多羅尾伴内
2003年12月27日
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