詩と散文との間を行く發想法
折口信夫

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)香を※[#「嗅」の「口」に代えて「鼻」、第4水準2−94−73]ぐ。

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
(例)つく/″\
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かう言ふ憎々しい物言ひをして、大變な勞作を積んで入らつしやる作家諸氏に失禮に當つたら、御免下さい。どうも、私どもは批評家でない。尠くとも、優れた新進作家の發見を、片手わざとする月評擔當者風な、忠實な氣分にはなれない。ほんの漫然たる文學青年の育つたものに過ぎない事を、つく/″\思うてゐる。それで、名聲の定まつたといふより、此人の物ならと初めから、安心してかゝれる作家の物ばかりを、讀む癖がついて了うたのが、叶はない。齒に衣を著せずに言ふと、其ほど新進作家の物を見ると、失望させられるのである。此失望と、無駄とを痛感することが、大なり小なり誰にもあつて、寧力瘤を入れて、入れ損を
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