こに、がら[#「がら」に傍点]の大きさを見せてゐる。又其だけ文章にも、不安は持つてゐられるらしい。昨年出た本誌の論文――「現代口語文の缺點について」――などは、實はもつと國語・國文教育者が、反省してもよい筈だつたと思ふ。私などは、無條件に賛成である。其といふのが、常日頃考へてゐた事の代言をして貰うた氣がしたからだ。其ほど、私をつり込んだ論文も、實は谷崎さん當座用の煩悶帳であつた。今一つ將來の文章についても書いておいて貰ひたかつたものだ。
聲調の上の美や、描寫法の上の傳習的な確實から超越した、さうしてまう少し日本流に連綿した文章が出ようとしてゐる。又其を育てねばならぬと言ふ申し出が、實は聽きたかつたのである。



底本:「折口信夫全集 廿七卷」
   1968(昭和43)年1月25日発行
初出:「改造 第十二卷第二號」
   1930(昭和5)年2月
※底本の題名の下に書かれている「昭和五年二月「改造」第十二卷第二號」はファイル末の「初出」欄に移しました。
※踊り字(/\、/″\)の誤用の混在は底本の通りとしました。
入力:高柳典子
校正:多羅尾伴内
2003年12月27日作成
青空文
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