横雲の空のように、茜色《あかねいろ》に輝いて居る。
大山颪《おおやまおろし》。木の葉も、枝も、顔に吹きつけられる程の物は、皆|活《い》きて青かった。板屋は吹きあげられそうに、煽《あお》りきしんだ。若人たちは、悉《ことごと》く郎女の廬《いおり》に上って、刀自《とじ》を中に、心を一つにして、ひしと顔を寄せた。ただ互の顔の見えるばかりの緊張した気持ちの間に、刻々に移って行く風。西から真正面《まとも》に吹きおろしたのが、暫らくして北の方から落して来た。やがて、風は山を離れて、平野の方から、山に向ってひた吹きに吹きつけた。峰の松原も、空様《そらざま》に枝を掻き上げられた様になって、悲鳴を続けた。谷から峰《お》の上《へ》に生え上《のぼ》って居る萱原《かやはら》は、一様に上へ上へと糶《せ》り昇るように、葉裏を返して扱《こ》き上げられた。
家の中は、もう暗くなった。だがまだ見える庭先の明りは、黄にかっきり[#「かっきり」に傍点]と、物の一つ一つを、鮮やかに見せて居た。
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郎女様が――。
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誰かの声である。皆、頭の毛が空へのぼる程、ぎょっとした。其が、何だと
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