げ]
貴人《うまびと》はうま人どち、やっこは奴隷《やっこ》どち、と言うからの――。
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何時見ても、大師は、微塵《みじん》曇りのない、円《まど》かな相好《そうごう》である。其に、ふるまいのおおどかなこと。若くから氏上《うじのかみ》で、数十|家《け》の一族や、日本国中数万の氏人から立てられて来た家持も、じっと対《むこ》うていると、その静かな威に、圧せられるような気がして来る。
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言わしておくがよい。奴隷たちは、とやかくと口さがないのが、其|為事《しごと》よ。此身とお身とは、おなじ貴人じゃ。おのずから、話も合おうと言うもの。此身が、段々なり上《のぼ》ると、うま人までがおのずとやっこ[#「やっこ」に傍点]心になり居って、いや嫉《ねた》むの、そねむの。
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家持は、此が多聞天か、と心に問いかけて居た。だがどうも、そうは思われぬ。同じ、かたどって作るなら、とつい[#「つい」に傍点]聯想《れんそう》が逸《そ》れて行く。八年前、越中国から帰った当座の、世の中の豊かな騒ぎが、思い出された。あれからすぐ、大仏開眼供養が行われたのであった。
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