其時、近々と仰ぎ奉った尊容、八十|種好《しゅごう》具足した、と謂《い》われる其相好が、誰やらに似ている、と感じた。其がその時は、どうしても思い浮ばずにしまった。その時の印象が、今ぴったり、的にあてはまって来たのである。
こうして対いあって居る主人の顔なり、姿なりが、其ままあの盧遮那《るさな》ほとけの俤だ、と言って、誰が否もう。
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お身も、少し咄《はな》したら、ええではないか。官位《こうぶり》はこうぶり。昔ながらの氏は氏――。なあ、そう思わぬか。紫徴中台《しびちゅうだい》の、兵部省のと、位づけるのは、うき世の事だわ。家《うち》に居る時だけは、やはり神代以来の氏上づきあいが、ええ。
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新しい唐の制度の模倣ばかりして、漢土《もろこし》の才《ざえ》が、やまと心[#「やまと心」に傍点]に入り替ったと謂《い》われて居る此人が、こんな嬉しいことを言う。家持は、感謝したい気がした。理会者・同感者を、思いもうけぬ処に見つけ出した嬉しさだったのである。
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お身は、宋玉や、王褒《おうほう》の書いた物を大分持って居ると言うが、太宰府へ行った時
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