好惡の論
折口信夫
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)避《サ》り
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)夜床|避《サ》りの
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)見※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]した
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)後から/\
−−
鴎外と逍遙と、どちらが嗜きで、どちらが嫌ひだ。かうした質問なら、わりに答へ易いのです。でも、稍老境を見かけた私どもの現在では、どちらのよい處も、嗜きになりきれない處も、見え過ぎて來ました。それでやつぱり、かうした簡單な討論の方へ加はれさうもありません。だからまして、廣く大海を探つて一粟をつまみあげろと言つた難題には、二の脚を踏まずには居られません。さあだれが嗜きで誰が嫌ひ。そんな印象も殘さない樣な讀み方で、作品を見續けて來た幾年の後、靜かにふりかへつて見ても、假作・實在の人物の性格や生活に、好惡を考へ分ける事が出來なくなつてゐます。今度、あな
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