かひゞと[#「ほかひゞと」に傍線])には物語が伝つて居たのである。
ほかひゞと[#「ほかひゞと」に傍線]の国まはりの生計には、ことほぎ[#「ことほぎ」に傍線]の外に、諷諭のことわざ[#「ことわざ」に傍線]及び感銘の深い歌が謡はれ、地の叙事詩が語られる様になつたと見られる。其演奏種目が殖えて行つて、ほかひ[#「ほかひ」に傍線]・ことほぎ[#「ことほぎ」に傍線]よりも、くづれ[#「くづれ」に傍線]とも言ふべき物語や狂言・人獣の物まね・奇術・ふりごと[#「ふりごと」に傍線]などがもてはやされた。此等は、奈良以前から既にあつた証拠が段々ある。
平安朝になると、一層甚しく、祝言職と言へば、右に挙げたすべての内容を用語例にしてゐたのである。平安朝末から鎌倉になると、諸種のほかひゞと[#「ほかひゞと」に傍線]・くゞつ[#「くゞつ」に傍線]は皆、互に特徴をとり込みあうて、愈複雑になつた。ちよつと見には、どれが或種の芸人の本色か分らなくなつた。「新猿楽記」を見ると、此猿楽は恐らく皆、千秋《センズ》万歳の徒の演芸種目らしく思はれる。其中には、千秋万歳系統のほかひ[#「ほかひ」に傍線]の芸は勿論、神楽の才の
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