りと[#「のりと」に傍線]であつたらしく、其|心《シン》になつてゐるものが、古くはよごと[#「よごと」に傍線]を以て総称せられて居たのだ。よごと[#「よごと」に傍線]が段々一定の目的を持つた物に限られる様になつてから、元の意義の儘のよごと[#「よごと」に傍線]に近い物ばかりを掌《つかさど》り、よごと[#「よごと」に傍線]に関聯した為事を表にする斎部の地位が降つて来る様になつたのも、時勢である。其は一方、呪言の神の原義が忘れられた為である。
かむろぎ[#「かむろぎ」に傍線]・かむろみ[#「かむろみ」に傍線]と言ふ語には、高天原の神のいづれをも、随意に入れ替へて考へる事が出来た。父母であり、又考位・妣位の祖先でもある神なのだ。だから、かむろぎ[#「かむろぎ」に傍線]即たかみむすびの神[#「たかみむすびの神」に傍線]に、天照大神を並べてかむろみ[#「かむろみ」に傍線]と考へてゐた事もある。此両位の神に発生した呪言が、円満具足し、其存続が保障せられ、更に発言者の権威以外に、外在の威霊が飛来すると言ふ様に展開して行つた。私の考へでは、詞霊《コトダマ》信仰の元なることゞむすび[#「ことゞむすび」に
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