詩系統の詞章の、伝来の正しさを重んずる事の外に、其語り人の神格化を信じて、新しい詞章を請ふ様にもなつたのだ。此が又、宣命・よごと[#「よごと」に傍線]・のりと[#「のりと」に傍線]・いはひごと[#「いはひごと」に傍線]などの新作を、神聖を犯すものとせず、障りなく発達させる内的の第一の動機となつた。
語部は、神がゝりすると言ふより、寧、神自身になつて、古詞章を伝へる内に、段々新聖曲を語り出す様にもなつた。此点にも、呪言と叙事詩との岐れ目がある。呪言では、新詞章の出来たのは、叙事詩よりも遅れてゐる。此には、宣命の新作が、大きな動力になつた。だが、其以前から、発生的に叙事詩と通用して、殆ど同体異貌のものであつたから、変り始めては居た事であらう。
語部の新詞章の語り始められたのは、恐らく、長い飛鳥の都以前からもあつたであらう。尚一面、壬生部の叙事詩が此と絡みあうて、名代部・子代部の新叙事詩を興した事も考へねばならぬ。其は、古い叙事詩を自然に改作し、而も新しい感触を含んだ物語や、歌を数多く入れた身につまされる様なのが出て来た。此名代部・子代部の伝承をある点まで集成したらしいのが、既述の海語部《ア
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