にある。
だから、寿詞が多く行はれ、本義どほりののりと[#「のりと」に傍線]は、宮廷で稀に発せられるだけで、宮廷から下つたものを伝奏・宣下する以外には、のりと[#「のりと」に傍線]と言ふ事が許されなくなつた痕が見える。貴族・神人の伝承詞章は、のりと[#「のりと」に傍線]に這入るべきものでも、よごと[#「よごと」に傍線]と呼ぶ様になつて行つたらしい。かうしたよごと[#「よごと」に傍線]の分化に伴うて、のりと[#「のりと」に傍線]から分化して来たのが、いはひごと[#「いはひごと」に傍線](鎮護詞)であつた。だから、よごと[#「よごと」に傍線]であるべきものが鎮護詞《イハヒゴト》と呼ばれたり、又祝詞と呼ばれる物の中にも、斎部《イムベ》などのいはひ詞[#「いはひ詞」に傍線]を多く交へてゐる訣である。宮廷のものは何でものりと[#「のりと」に傍線]であり、民間のものはすべてよごと[#「よごと」に傍線]と称へ、よごと[#「よごと」に傍線]の中にいはひ詞[#「いはひ詞」に傍線]の分子が殖えて行つて、よごと[#「よごと」に傍線]と言ふ観念が失はれる様になり、そして、のりと[#「のりと」に傍線]に対するも
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