。其間は、其意志の象徴としてほ[#「ほ」に傍線](又はうら[#「うら」に傍線])を出さしめる。呪言に伴うて精霊が表す神秘な標兆として、秀《ホ》即|末端《ウラ》に露《あらは》れるものゝ意である。
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答へて曰はく「はたすゝきほ[#「ほ」に傍線]に出しわれや、尾田吾田節《ヲタアタフシ》の淡《アハ》の郡に居る神なり」と。(神功紀)
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かうした用語例が転じて、恋ひ心のそぶり顔に露れることを「ほにいでゝ……」と言ふ。うら[#「うら」に傍線]も亦、
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武蔵野に 占《ウラ》へ、象灼《カタヤ》き、まさでにも 告らぬ君が名、うら[#「うら」に傍線]に出にけり(万葉集巻十四)
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など、恋愛の表情に転じた。うら[#「うら」に傍線]は又「……ほ[#「ほ」に傍線]に出にけり」と言うても同じだ。此等のほ[#「ほ」に傍線]・うら[#「うら」に傍線]の第一義は、精霊の意志標兆であるが、呪言に伴ふ処から、意義は転じ易かつた。うら[#「うら」に傍線]がうらふ[#「うらふ」に傍線](卜)・うらなふ[#「うらなふ」に傍線]の語根になつた
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