寺の奴隷に数へられた。此徒には、海の神人の後なるくゞつ[#「くゞつ」に傍線]と、山人の流派から出たほかひゞと[#「ほかひゞと」に傍線]とが混り合つてゐた。それが海人がほかひゞと[#「ほかひゞと」に傍線]になり、山人がくゞつ[#「くゞつ」に傍線]になりして、互に相交つて了うた。此等が唱門師の中心であつた。舞の本流は、此仲間に伝へられたのである。
今一つ、山海の隈々に流離して、山だち[#「山だち」に傍線]・くゞつ[#「くゞつ」に傍線]など言はれた団体の女性は、山姥・傀儡女《クヾツメ》として、細かな区別は段々無くなつたが、前者は舞に長け、後者は諷誦に長じて居た。此等の流民の定住するに到るまで、久しく持ち歩いたうた[#「うた」に傍線]と其叙事詩と呪言とは、幾代かの内に幾度となく、あらゆる地方に、あらゆる文芸の芽生えを植ゑつけた。尤《もつとも》此等の二つの形式を併せ備へてゐる者もあつて、一概に其何れとは極《き》めて了ふことは出来ない。併し、其等の仲間には、常に多くの亡命良民と若干の貴種の人々とを交へて居たのは事実である。
此等の団体を基礎として、徒党を組んだ流民が、王朝末・武家の初めから、戦国の
前へ 次へ
全137ページ中133ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング