生物語の小萩の居たのは青墓であつた。熊野と美濃との関係は閑却出来ぬ。
あひの山ぶし[#「あひの山ぶし」に傍線]は、和讃・今様から、絵解きに移り、更に念仏化したものらしい。男性のたゝき[#「たゝき」に傍線]の一方の為事になつて行く。
此たゝき[#「たゝき」に傍線]と言ふものは、思ふに「節季候《セキゾロ》」が山の神人(山人)の後身を思はせる如く、海の神人の退転したのではあるまいか。私は、くゞつ[#「くゞつ」に傍線]の民の男性の、ほかひゞと[#「ほかひゞと」に傍線]の仲間に入つたものゝ末の姿だと思うてゐる。其以前の形は、あまの囀り[#「あまの囀り」に傍線]の様に、早口で物を言うて、大路小路を走る胸たゝき[#「胸たゝき」に傍線]であつた。此に対する女性は、姥たゝき[#「姥たゝき」に傍線]と言はれるものがあつた。此外にも、くゞつ[#「くゞつ」に傍線]の遊女化せぬ時代の姿を、江戸の末頃近くまで留めてゐたのは、桂女《カツラメ》である。あの堆《うづたか》く布を捲き上げた縵《カヅラ》は、山縵ではなかつた。

[#5字下げ]五 他界を語る熊野唱導及び念仏芸[#「五 他界を語る熊野唱導及び念仏芸」は中見出し
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