人の考へたまれびと[#「まれびと」に傍線]觀が、語意の展開と共に、之を逐ふ方に專らになつて來たからである。
代を經た祖先として、既に畏怖の念よりも、尊敬の方に傾いて來ると、男性・女性の祖先一統を代表する靈の姿が考へられて來る。其が祖先であると言ふ考へから、高年の翁・媼に想像せられたことが多い。だが、生殖力の壯んなことを望むところから、壯年のめをと[#「めをと」に傍線]神を思ひ浮べた例も多い。此夫婦神の樣式が神爭ひ・神|逢遭《ユキアヒ》などの物語・行事の上にも影を落して、雙方の神を男女或は夫婦として配する風が成長して來た。農作に關係のある神來臨が、初春といひ、五月と言ひ、多く夫婦神であることは、一面、婚合の儀式を行うて、作物を感染せしめようとする呪術を伴うてゐたものかも知れぬ。
其他の場合のまれびと[#「まれびと」に傍線]には、主神一柱の外は眷屬だけが隨うて、女性の神の來ないのが多かつたと思はれる。
まれびと[#「まれびと」に傍線]が人間化する最初は、恐らく新室のほかひ[#「新室のほかひ」に傍線]などであらう。まれびと[#「まれびと」に傍線]として迎へられた神なる人が、待遇は神にする樣式
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