の遊びに、其源を發して居るのである(島袋源七氏の報告に據る)。
多くの土地では、親雲上《ペイチン》が大主《ウフツシユ》を迎へて後、扇をあげて招くと、儀來《ギライ》の大主《ウフヌシ》が登場して、五穀の種を親雲上に授けて去る。其後、狂言が始まるのだが、村によつて、皆、別々の筋を持つて居る。他の演藝は殆、同樣であるが、狂言だけは、村固有のもので、共通な處はない。茶番狂言に類する喜劇で、輕口・口眞似などを主として居る(比嘉春潮氏報告)。
此解説は、同時によごと[#「よごと」に傍線]の起原にも觸れて行く。我が國の演劇の中、長者の大主の形式と同じ形の殘つて居るものは、能樂である。翁の「神歌」を見ても、翁は農作を祝福する神の、藝術化して行く途中にある者だと言ふことは訣る。長者の大主は「翁の起原」を示して居るし、そして儀來の大主は「翁の意味」を説いてゐる。而も後者は、單に翁が二重になつて居るだけでなく、三番叟の起原をも示して居るのである。
三番叟は、おなじ老體を表して居るが、黒尉《クロジヨウ》と稱へて黒いおもて[#「おもて」に傍線]を被つて居る。さうして必、狂言師の役にきまつてゐる。能樂に於ける狂言或
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