下げ終わり]
とあるのは、恐らく文飾ではあるまい。
正月、生き御靈[#「生き御靈」に傍線]を拜する時の呪言が「おめでたう」であつたとすれば、正月と生き盆との關係は明らかである。生き盆[#「生き盆」に傍線]と盂蘭盆との接近を思へば、正月に魂祭りを行つたものと見ることも、不都合とは言はれない。柳田國男先生は、やはり此點に早くから眼を著けて居られる。
私は、みたまの飯[#「みたまの飯」に傍線]の飯[#「飯」に傍線]は、供物《クモツ》と言ふよりも、神靈及び其眷屬の靈代だと見ようとするのである。此點に於て、みたまの飯[#「みたまの飯」に傍線]と餅[#「餅」に傍線]とは同じ意味のものである。白鳥が屡餅[#「餅」に傍線]から化したと傳へられる點から推して、靈魂と關係あるものと考へて居る。なぜなら、白鳥が靈魂の象徴であることは、世界的の信仰であるから。餅[#「餅」に傍線]はみたま[#「みたま」に傍線]を象徴するものだから、それが白鳥に變じると言ふのは、極めて自然である。みたまの飯[#「みたまの飯」に傍線]と餅[#「餅」に傍線]とは、おなじ意味の物である。我々は、餅[#「餅」に傍線]を供物と考へて來てゐ
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