。にいる[#「にいる」に傍線]は奈落で、すく[#「すく」に傍線]は底だと言ふが、にいる[#「にいる」に傍線]は明らかに別の語である。にこらい・ねふすきい[#「にこらい・ねふすきい」に傍線]氏の考へでは、すく[#「すく」に傍線]も底ではなく、此群島地方で、底をすく[#「すく」に傍線]と言ふ事はない。やはり壘・村・國を意味して居るさうだ。つまり、にいる國[#「にいる國」に傍線]と言ふ事になる。ぴつ[#「ぴつ」に傍線]は人であるが、一種の敬意を持つた言ひ方で、靈的なものなる事を示して居るのである。
にいる人[#「にいる人」に傍線]の行ふ事は、一年中の作物の豫祝から、今年中の心得、又は昨年中、村人の行動に對する批評などもある。村人の集つて居る廣場に出て踊り、其後で家々を歴訪すること、及び其に對する村人の心持ちは、まやの神[#「まやの神」に傍線]と同樣である。
にいる人[#「にいる人」に傍線]の出る地方の青年には、又、酉年毎に成年式が執り行はれる。一日だけではあるが、かなりの苦行を命じられる儘にせなければならない。まやの國[#「まやの國」に傍線]から來る神と、にいるすく[#「にいるすく」に傍線]
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