任せると言ふ形をとるに到つた。さうして、祝言職の固定して、神人として最下級に位する樣に考へられてから、乞食者なる階級を生じることになつた。
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     ┌妖怪
おとづれ人┤
     └祝言職――乞食
[#ここで字下げ終わり]
だから、かういふ風に變化推移した痕が見られるのである。門におとづれて更に屋内に入りこむ者、門前から還る者、そして其形態・爲事が雜多に分化してしまうたが、結局、門前での儀が重大な意義を持つて居たことだけは窺はれる。此樣に各戸訪問が、門前で其目的を達する風に考へられたものもあり、又、家の内部深く入りこまねばならぬものとせられたのもある。古代には家の内に入る者が多く、近世にも其形が遺つて居るが、門口から引き返す者程、卑しく見られて居た樣である。つまりは、單に形式を學ぶだけだといふ處から出るのであらう。

      四 初春のまれびと[#「まれびと」に傍線]

乞食者はすべて、門藝人の過程を經て居ることは、前に述べた。歳暮に近づくと、來む春のめでたからむことを豫言に來る類の神人・藝人・乞食者のいづれにも屬する者が來る。「鹿島のことふれ」が※[#「
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