語部と叙事詩と
折口信夫

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)検《しら》べた

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)種姓|明《アカ》し

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+纔のつくり」、463−11]
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私は、語部の職掌及び、其伝承した叙事詩の存在した事を、十数年以来主張して来た。語部が、対話として散文的に古い説話を記憶して、話し聞かした事だけは、反対する人もなかつたが、その伝承の対象が叙事詩の形を持つて居り、其を暗誦したり、聞かしたりするのは、ある節まはしで謡うたものだといふ点には、反対する人が、陰に陽にかなりあつた。私の考へはじめは、「かたる」といふ語の用語例から出発して、万葉集その他のかたる[#「かたる」に傍線]の意義を検《しら》べた辺から出て居る。其れに自信を添へる事の出来る様になつたのは、金田一京助先生が、年々夏には、「北海道あいぬ」を調査に行かれて、所謂「蝦夷浄瑠璃」の採集から、驚くべき分量の詞曲・神曲(同先
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