[#「すさのを」に傍線]の天上における行為を起原としてゐる。だが、此が皆田植ゑの行事と関係があり、五月夜《サヨ》の事になり、簑笠を言ふ処を見ると、昔からの説は、古代論理を考へなさ過ぎた為ではないかと思はれる。
即、雨つゝみ[#「雨つゝみ」に傍線]の言語情調が変つて、天つ罪となつた。後世人には、雨つゝみ[#「雨つゝみ」に傍線]とするのは、天上におけるすさのを[#「すさのを」に傍線]の罪が、此地上にも亦、天つ罪の行はれる時だからと考へたのである。
すさのを[#「すさのを」に傍線]の天つ罪[#「天つ罪」に傍線]を行うた後、贖《あがな》ひとして、田を元の如くする様を、神人として演ずるのだ、といふ風に解する時代が、あつたに違ひない。わたしは古来難義の「天つ罪」は「霖斎《アマツヽ》み」の伝承から、語義まで変つたものと信じてゐる。
底本:「折口信夫全集 1」中央公論社
1995(平成7)年2月10日初版発行
底本の親本:「『古代研究』第二部 国文学篇」大岡山書店
1929(昭和4)年4月25日発行
初出:「日光 第五巻第一・二号」
1927(昭和2)年9月、12月
※底本の題名の下に書かれている「昭和二年九・十二月「日光」第五巻第一・二号」はファイル末の「初出」欄に移しました。
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2007年8月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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