傍点]の名詞である。泣く[#「泣く」に傍線]はその動詞。いを寝る[#「いを寝る」に傍線]も、い[#「い」に傍線]は寝ること[#「寝ること」に傍点]の名詞、寝る[#「寝る」に傍線]がその動詞である。さういつた種類の名詞があつて、之が後々まで、文献の上では固定して、文学語としては遺つたけれども、文法語としては意味を失つて来た。ところが、泣く[#「泣く」に傍線]、寝る[#「寝る」に傍線]は共に自動詞で、はだかで拠り所のない語だ。大槻文彦博士の分類では、こんぷるめんと[#「こんぷるめんと」に傍点]の有無によつて有対自動詞・無対自動詞と分けてある。泣く[#「泣く」に傍線]・寝る[#「寝る」に傍線]はその後者に属するが、昔は、この今の我々が無対自動詞と思つてゐるものが、所謂有対自動詞であつた。それもこんぷるめんと[#「こんぷるめんと」に傍点]としてではなくて、とにかくに名詞と動詞が融合しなければ成立せぬ語だつたのである。いを寝る[#「いを寝る」に傍線]・ねを泣く[#「ねを泣く」に傍線]などの言ひ方の出て来るのは、その為だ。い[#「い」に傍線]・ね[#「ね」に傍線]はこんぷるめんと[#「こんぷるめん
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